いま、森が見直されているらしい。 日本人に「自然が好きですか」とたずねると、ほとんどの人は迷うことなく「はい」という答えが返ってくる。ところが、「森は?」と聞くと、ほとんどが「さあ」となる。 森の中や近くに住んでいたり、森にかかわる仕事をしている人以外は「森」について身近かに感じることが少ないから無理もない。 南北に長い日本の自然豊かな国土の七割が森という事実にもかかわらず、だ。 ところが、国土がほとんど平らなドイツ人に同じ質問をすれば、ほとんどの人は「森が大好き」。 ドイツでは都会の住宅地の片隅には必ず小さな森があり、人々が朝夕必ず散歩に出かける憩いの場所になっている。ドイツ人にとって、それほど森は身近な存在なのだ。私はドイツに暮らしてはじめて、森は「見るもの」ではなく、「感じるもの」だと知った。森の中に入り、身近に木々を眺め、樹木に触ってはじめて人間の感覚や心が呼び起こされる気がする。山菜やきのこが茂る木々の間を歩きながら感じるのは、年輪を重ねた樹木が吐き出す空気の透明で美味しいこと。森の香りを全身で浴びる、いわゆる森林浴jは、人間の抵抗力を養ってくれるらしい。 鼻づまりや風邪などもすぐ治ってしまう。森は、かかわればかかわるほど人間を健やかにしてくれる。 人間の心身を健やかに元気づけてくれる「森の不思議なパワー」は、現代のストレス社会にはますます必要なものだと実感する今日この頃である。
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