沖幸子イメージ
オランダに学ぶ”ワークシェアリング”


世界的不況の中、日本の失業率も上昇の一途をたどり深刻な社会問題になっている。その解決にヒントを与えてくれるのが、従来の日本の雇用形態の再構築である。
特に現状のパートタイマーのあり方を変える法令の制定は急務である。
この場合、参考になるのがオランダの雇用制度の成功例だろう。
日本のパートタイマーは、非正規雇用を意味するが、オランダではパートタイマーといっても正規雇用の場合が多い。
つまり、長時間と短時間の正社員が同じ職場で働いているといったほうがわかりやすいかもしれない。
オランダの場合、労働時間差によって雇用の条件が差別されないのである。
このオランダのワークシェアリングは、労働時間差によって差別禁止の法律が1996年にできたことにより、パートタイム労働が増え、この場合のパートタイマー労働は、フルタム労働と同一労働同一賃金である。
パートタイム労働が急増の結果、失業率が下がり、経済成長効果のおまけまでついてきた。
一方、企業側は、フルタイムの正規労働者ばかりのときに比べ、人件コストのダウンなどの効率化になった。
また、働く人にとっても、働き方の多様化により、生活を大切にする「ワークライフバランス」が実現でき、女性たちは、出産か仕事かの二者選択に悩むことから解放されたのである。
出産、子育ての時期には短時間のパートタイマー労働となり、子育てを終えればまたフルタイムに戻れるのである。男性も子育ての時期は、フルタイムからパートタイムに安心して切り替えられ、妻の仕事と育児の両立を助けることができる。
パート的働き方の場合、「仕事に対する責任とか意欲にかける」という日本的発想は皆無に近い。
ILO(国際労働機構)は、「労働時間差差別の禁止」を決議、世界の国々は「労働時間差差別」に取り組む時代となった。
日本は、1996年に労働者派遣法が施行され、いまや派遣は医療と製造業の5業種以外は自由化された。

これは世界の流れとは逆に、賃金格差が固定化し、「格差社会」が生まれる要因にもなったのである。成熟した日本社会に必要なワークライフバランスの真の実現のためにも、バオランダのような柔軟な働き方ができる職場の環境作りを、国の政策として真剣に考える時期になった。
バランスの取れた労働政策に政治の強いリーダーシップが急務である。


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