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日米の「清貧の思想」を考える
アメリカンドリームという言葉があります。
普通のアメリカ人にとって一言で言えば、郊外につつましくてもいい、一戸建ての家を持つこと。今は、貧しくても一生懸命働けば「一戸建ての家が買える」。
これこそアメリカ人共通のドリーム(夢)だったわけです。
ところが、所得が低い人たちにも家が買えるローンが出現し、それに皆が飛びついたのが「サブプライムローン」というわけです。
本当は家を買えない人にも家を買える夢、つまりアメリカンドリームを実現してくれたのがサブプライムローンだったのです。
住宅価格が永遠に上がり続けるという夢が泡となって消えたとき、ローンが払えなくなり、住む家もカードもなくなってしまった。
その昔、「大草原の小さな家」というアメリカの国民的人気テレビ番組がありました。
日本でもNHKで1975年からシリーズが放送され大人気となったあの番組です。
貧しくても家族全員が力を合わせて一生懸命畑を耕してまじめにつつましく暮らしていくことがアメリカ人の精神だという、アメリカ版「清貧の思想」。
「大草原の小さな家」を今観れば、確かに珍しく理想的だが、いまのアメリカ人にとってどれだけ現実性があるかどうか。ついでながら、カンザスに「大草原の小さな家」の作者ローラ・インガルスの住んでいた家があるが、今でも全米から訪れる人が後を絶たないらしいほどの人気スポット。
「昔はこのように大変だったのだから」と子供たちに「モノを大切にする心を教える」教材にはなるでしょう。
日本でもいま、田舎に住み自給自足の生活をするテレビ番組企画がヒットしているが、果たして普通の現代人にとって興味はあるが、現実にわが身に置き換えると「とんでもない」こととなる。
「モノにあふれすぎている暮らし」を考えさせてくれる機会にはなっているようです。
アメリカ版も日本版も昔の「清貧の思想」がいま人気なのは、なぜでしょうか。
モノを生産する経済から金融投資型の経済に極端に発展してしまった結果、人はどこかで心のバランスをとろうとしているのかもしれません。
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