このたび立て続けに日本人のノーベル賞受賞の明るいニュースが、 日本列島を駆け巡った。今年は、不況や事件などの暗いニュースばかりが続いていたので、一瞬だが周りがパット明るくなった気がする。 ノーベル賞につながった物理学という学問は、紙と鉛筆があればどこでもできるらしい。もちろん、それを操る優秀な並外れた頭脳も必要だが。 紙と鉛筆片手に、寝食忘れて議論に没頭した30代の若き時代の研究論文が30年後に日の目を見たというわけだ。 30−40年前といえば、ITとは無関係のアナログの時代。人間同士の熱き議論を戦わせることが当たり前の時代を生き抜いてこられたノーベル賞受賞の先生方と比べ、今の30代の若者はどうだろうか。 紙とエンピツどころか、他人と堂々と議論さえしたことのない「パソコン人間」が多くなった。 パソコンに向かえば人との会話がなくても何日も日が暮れる。 最近の特に20代、30代の若者は、思考や行動がパターン化しているような気がする。 皆がパソコンからの画一の知識を共有しているのである。 プレゼンテーションをさせると、とても流暢に上手い。 しかし、よく聴いていると、ITを駆使して集めた情報のパッチワークで、中身の奥行きがない。人間味が感じられず、心にグッと来るような感動がない。 自分の汗を流し、体験から来る裏づけが少ないように思える。人間同士の心のふれあいや対話がなく、ネット上からのみ集めた情報の羅列では、人を納得し感動させることはできない。 ‘90年代以降、企業は効率化をより多く求め、無駄なこと非生産的なものを削除し、、成果主義、効率主義を重視し、その結果、人間と人間とのふれあいが少なくなった。 上司に叱られると、すぐキレ、その場で辞めてしまう。 上司と飲んだり、遊んだりすることを極力避ける若者も多い。昔は、嫌な上司との付き合いのなかから、仕事のノウハウや人間関係を学んだものである。 職場の人間関係、交友関係、近隣との付き合い、年長者を大切にするなど他人との付き合い方がめんどうと考える若者も増えている。 この不況の中、これを打破ありがとうございますするためにも、これからの企業社会環境は、変わらざるを得ないだろう。 短期の利益主義のみに走った企業の破綻が目立つ今、いまこそ長期的成果もうまく組み込んだ企業戦略も大切である。 そして、知識や情報の単一化された「IT人間」以上に、紙とエンピツで知恵を競う若者たちの「汗かきアナグロ的人間」の再登場を求められる時代になろうとしている。
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