カツオの美味しい季節になった。
煮ても、焼いても、タタキでもその調理法はいろいろ。でも、やっ
ぱり一番は、“カツオのたたき”。新鮮なカツオをサッと炭火であぶ
って、酢じょうゆとショウガでいただく。この日本古来の食べ方で、
日本人は、季節感あふれる旬の食材を心待ちにし、楽しんだのである。
カツオに限らず日本近海で取れる旬の魚は多い。
江戸時代の歌の中に、「楽しみは、子供たちがたまに食卓に出され
る煮魚を美味しい、美味しいといって食べる姿を見ること」、があっ
て、煮魚が当時の子供たちの何よりのご馳走だったことがわかる。
さて、美味しいものが街にあふれる飽食の現代、いまの子供たちに
とって煮魚は「美味しい、美味しい」と食べる料理だろうか。第二次
大戦後、大人たちが「珍しい、珍しい」と輸入食材を食卓に並べてい
るうちに、大人も子供も、日本の山海の大切な旬の味を忘れてしまっ
ているのかもしれない。海に囲まれた日本ならではの美味しい魚の旬
の味をも。
昨年の水産白書によると、日本の食用魚介類自給率は‘98年以降50%
に落ち込んでいるという。これを60%に以上に高めるために、「日本
近海でとれる魚を食べよう」と呼びかけているが、かなりの努力と知
恵が要りそうである。
“カツオのたたき一皿”を日本人が月に一度食べれば、魚の自給率
は1ポイント上がるらしい。今夜のおかずは“カツオのたたき”と行き
たいところだが、果たして。
ちなみに、国産の旬の魚は、春はカツオ(鰹)、夏はするめイカ、
秋はサンマ(秋刀魚)、そして冬はブリ(鰤)である。
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