沖幸子イメージ
スローフードに想うこと

以前、広島で開かれた「スローフード」に関するシンポジュームに出させていただいたことがあります。
今はやりのスローフードの中に地域の活性化をどう見出していくかがテーマ。
建物などのハードを担当される工学部の教授たちと楽しい議論を交わさせていただきましたが、結局はそこに住む人々の「ホスピタリテイ」が大切で、その地域の住民の心の問題をどう解決するかが今後のテーマとして残されたような結果になりました。
そもそも、スローフードとは。
この言葉の発祥地はイタリア。ファーストフードの代表格でもある「マグドナルド」が観光地ローマに進出しようとし、激しい反対運動にあいましたが、それでも開店を阻止することができなかったことがきっかけで生まれた運動といわれています。
食文化を大切にするイタリアで生まれた運動がなぜ「スローフード」という英語なのかわかりませんが。
今では、そのハンバーガーショップは観光名所ローマになくてはならない存在でにぎわっています。ついでながら私もローマで“お世話になった”ことが。
普段はゆっくりと(スロー)食事を楽しむ国民もたまには時間のないときには早く、カンタンに(ファースト)に食事を済ませることもある。
どのレストランに出かけたらいいか迷ったとき、観光客は「マック」の看板を見てまずはほっとする。これが今の時代のバランス感覚ともいえるのかもしれません。
ただ「スローフード」といってもただ「スロー」であればいいというわけではないのです。
その土地の名産であること、質や素材のよさが損なわれず、地方の習慣や風習を大切に、そして最終的にその地域の活性化になることが条件とか。
でも、やっぱりその主役は人間。
「スロー」や「ファースト」などの言葉遊びはやめて、本当の意味の「スロー」とは何かを考えること。
いまの日本人に大切なのは、スローの「質」、つまり中身なのです。


OKI SACHIKO リビングインターナショナル 
〒151-0053 東京都渋谷区代々木       TEL 03-6715-7454  FAX 03-6715-7452